連草

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JAZZを俯瞰する。

Jazzの潮流

Blue Giant」を、ただ貶すだけじゃゲイがないので、折角この漫画でジャズに興味を持った人に、この漫画を読まずともJazzを楽しめるよう、情報提供しよう。

 

カフェで、バーで、CMで、Jazzが流れることは多い。

意識して聴いたことのない人にとって、Jazzのイメージって、「とっつきにくい器楽」だろうか、あるいは「静かでオサレな音楽」か、もしか「歌もの」か、「ビックバンド」か。

どれも合ってる。

実際、Jazzって言葉(ジャンル)は、幅広いスタイルを包含する。

 

Jazzの草創期は、WW1~WW2前あたり。

そして、WW2~1960年代の約30年間のスタイルがモダンジャズと呼ばれる。この間に、盛り上がったJazzは変化を続け、その進化が盛り上がりを維持・発展させた。

モダンジャズのうち、だいたい、40年代に流行ったスタイルが「ビバップ」、50年代のは「ハードバップ」、60年代は「モード」と呼ばれる。 それ以降は、特定のスタイルで区分することが難しい混沌の時代であり、モダンジャズの範疇には入れない。(かなり適当な分類です。そもそも分類自体、後付けだし。)

 

Blue Giant がイメージする音

Blue Giant」のコンピレーション・アルバムが2枚出ているようだ。

 

    

 

収録曲はすべてモダンジャズ。主人公たちの演奏がモダンジャズ的なものだということが示唆される。

ただ、モダンジャズのバンドは、ピアノ(p)、ベース(b)、ドラム(dr)をリズムセクションとし、フロントにホーン1~3本を置くのがスタンダードだ。

対して、主人公たちのバンドは、ピアノ(p)、ドラム(dr)、テナーサックス(ts)という変則トリオである。これは、彼らが懐古的にモダンジャズをなぞっているわけではないことを表してる。

 

さて、2枚のコンピレーション・アルバムの収録内容であるが、曲ではなく、名義(リーダー)を紹介しよう。楽器別で整理する。

 

1 まずサックス

 

2 次にピアノ

  • Thelonious Monk(p)
    ビバップ時代から活躍したが、彼の音楽は流行と関らず超然としていた。本当の意味でワン&オンリーなGiantだ。
    演奏は奇天烈で「何じゃこりゃ」とビックリするが、何度か聴くと脳に刻まれる。上記「'Round Midnight」をはじめ、名曲をいくつも書いている。
    この変人に肩を並べられるキャラは、Roland Kirk(ts/etc)くらいか。

  • Bud Powell(p)
    ビバップを創り出した1人。精神病と麻薬で破滅的な人生を送ったが、影響力は絶大で、そのスタイルはフォロワーを量産した。作曲では「Cleopatra's Dream」が有名。折角なので「'Round Midnight」を聞き比べよう。

  • Herbie Hancock(p)
    1940年生まれで、モード時代に頭角を現し、現在も活躍している。作曲家としても素晴らしく、美しい曲や、ファンキーな(ベタな)曲をたくさん書いてる。映像はたくさんあるが、まずは盟友Wayne Shorter(ts/ss)と共演した「Cantaloupe Island」あたりからどうぞ。

  • Sonny Clark(p)
    ハードバップの地味な人。アルバム「クール・ストラッティン」が、なぜか日本だけで大ヒットし、日本では超有名。多分、当時の日本の空気にジャストマッチだったんだろう。

  • Tommy Flanagan(p)
    どの時代というより、Ella Fitzgerald(vo)の伴奏者として名高い。コンピの収録曲はJohn Coltrane(ts)との共演作で、そっちがメインか。

    ちなみに、ジャズボーカル(黒人女性)では、塩辛いBillie Holiday横綱とすれば、エラ(Ella Fitzgerald)、サラ(Sarah Vaughan)、カーメン(Carmen McRae)が大関
    エラは「その辺のおばちゃん」っぽい大衆的な感じが良くて、サラは流麗なテクニック、カーメンは「らしさ」がいい。
    ボクはサラかな。「A Lover's concerto」は誰でも聞いたことあるはず。

    オサレなジャズが好みなら、Helen Merrillなんかの白人ボーカルを聴くヨロし。Clifford Brown(tp)をゲストに迎えた「You'd Be So Nice To Come Home To」は超有名。
    スタンダードな有名曲は、いろんな人が歌ってるから聞き比べるのもおもしろい。Sarah Vaughan版もどうぞ。

 

3 ドラム

  • Art Blakey(dr)
    ハードバップ~モードで一時代を築いたドラマー兼バンドリーダー。「A Night In Tunisia」で素晴らしいドラムソロが堪能できる。脇でマラカス振ってる若きBenny Golson(ts)がかわいい。

4 その他

  • Dizzy Gillespie(tp)
    Charlie Parker(as)の盟友としてビバップを創った1人。バンドリーダーとしても、多くの人材を輩出した。折角なのでCharlie Parker(as)と共演した映像を。頬がすごいね。

  • Clifford Brown(tp)
    ハードバップの代表的トランペッター。トランペット吹きのGiantといえばMiles Davis(tp)だけど(なぜかコンピには収録されてない)、いちプレイヤーとしては、明らかにClifford Brown(tp)の方が評価が高いと思う。自動車事故で夭逝したからか映像が少ない。やむなくコレ
    人格に優れたようで、友人Benny Golson(ts)が作曲した追悼曲「I Remember Clifford」はスタンダード曲になっている。

  • Lee Morgan(tp)
    Clifford Brown(tp)の次の世代の名トランペッター。Art Blakey(dr)のバンドの代表曲「Moanin」や、「I Remember Clifford」の名演で知られる。しかしこのLive映像はいいね。どっちも名曲中の名曲だけど、前者Bobby Timmons(p)と後者Benny Golson(ts)の自作自演だよ。
    ちなみに、Lee Morgan(tp)は後にステージで愛人に撃たれて死んだ。人間性は、Clifford Brown(tp)とずいぶん違ったんだろう。

  • Donald Byrd(tp)
    ハードバップからフュージョンと活躍した人。アルバム「フィエゴ」が日本でヒットした。

  • Paul Chambers(b)
    ハードバップ時代のMiles Davis(tp)を支えた名プレイヤー。コンピの収録曲はJohn Coltrane(ts)との共演作で、そっちがメイン。
    だいたいにおいてベーシストは地味。この人は凄腕だから、あちこちのセッションに引っ張りだこだったけど、やっぱ地味。
    ベースの音って、オーディオ設備が貧弱だと聞こえない。たとえばこの映像は、Miles Davis(tp)やJohn Coltrane(ts)の後ろで演ってて、最後の方でベースが前面に出てくるんだけど、PCのスピーカーで聞いても良さが分かんないかも。
    ベースって、Jazzの「らしさ」に大きく貢献してると思う。大きなスピーカーで、ベースがザクザク鳴ってるのを聞くと気持ちいいよ。

 

JazzのGiantたち

ジャズマンに序列をつけるのは、ファンの楽しみのひとつ。それだけになかなか定説はない。

ただ、上記した中で「Giant」と言えるのは、緩く見ても、

 Charlie Parker(as)、John Coltrane(ts/ss)、Sonny Rollins(ts)、
 Thelonious Monk(p)、Bud Powell(p)、Herbie Hancock(p)、
 Art Blakey(dr)、
 Clifford Brown(tp)、Dizzy Gillespie(tp)

一方、上記にないが「さすがに外せん」というのが、少なくとも、
 Miles Davis(tp)、Bill Evans(p)、
 Charles Mingus(b)

 

 

ついでに、Giantと言えるかはともかく、はじめて知ったときビックリしたトロンボーンの名手J.J.Johnson(tb)を紹介する。まさに超絶技巧。
オサレな白人プレイヤー Stan Getz(ts)との共演映像でどうぞ。

 

最後に、混沌の時代について象徴的な2人を紹介。
1人はOrnette Coleman(as/etc)。「フリージャズ」と呼ばれるカテゴリーを確立した。
もう1人はDavid Sanborn(as)。ボクにとっては「フュージョン」の典型。

 

補遺:現役の女性ボーカル

現役も紹介しておきましょう。キリがないので、ここでは女性ボーカルに絞って。

  • Cassandra Wilson(vo)
    低く、スモーキーな声で、ゆっくり歌う人。呪術でも行われているかのように錯覚する。「Time After Time」をMiles Davis(tp)と聞き比べよう。

  • Dianne Reeves(vo)
    正統派の実力者。ノってきたら、畳みかけるようにグイグイ来る。身を任せると気持ちいい。今年のライブ映像があった。